toilet_clogging
夫と結婚して12年が経つ。結婚する前、私たちは8年間付き合っていた。長い春というやつだ。私はずっと夫からプロポーズされるのを待ち続けていたのだけど、夫はなかなか切り出そうとはしてくれなかった。夫の態度に業を煮やした私は、結婚を考えていないならもう別れると最後通牒を突きつけた。そこでようやく夫は決断したのである。もし夫があいまいな態度を取り続けていたら…きっと夫と結婚していなかっただろうし、子供たちもいなかったと思う。後でよくよく聞いてみたら、夫は給料が少ないことにコンプレックスを感じ、自信が持てなかったということがわかった。とりあえず私に対する気持ちに揺らぎがないことがわかったのでホッとしたのだが。

だけど夫の自信のなさは決して謙遜からではなく、事実に基づくものだった。結婚して給料明細を初めて見せられたとき、私はてっきり新入社員の頃のものを見せられたのかと思った。そのとき覚悟が決まったのだ。私は節約の鬼になる、と。エアコンの内部清掃も、やれるところまでは自分でやったし、狭い庭でいくつかの野菜を育てて家計の足しにしているし、アイディアを駆使して削れるところは徹底的に削るようにしている。

そんなとき、トイレが詰まってしまった。もちろんトイレの詰まりぐらい、私一人で直すつもりだった。業者なんかに頼んだら、我が家の貴重な食費の数分の一が飛んで行ってしまうだろう。どうやら子供がおもちゃを流してしまったようなのだが…ラバーカップでもなかなか出てこなかったので、トングを使って引き出してみることにした。ところが、トングを入れた途端、おもちゃが奥に押しやられてしまったのである。それからありとあらゆる手を使ったのだけど、もうどうにもならなかった。

業者さんを呼んで解決したけれど、我が家の食費の半分が飛んで行ってしまった。何事も、無理は禁物ということを、痛感したのである。